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本作りブログ

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昭和の青春

昭和の青春

2023-08-25

夏に読みたくなる本というのが、ある。

冒険小説や戦争を描いた作品と同じように、

『昭和の青春 播磨を想う』を再読する。

 

ドイツ文学者でエッセイストだった池内 紀(おさむ)さんの短編集である。

兵庫県姫路市出身の池内さんが、故郷を舞台に、

市井の人々の暮らしや出来事を温かいまなざしで綴っている。

 

驚くような筋書きがあるわけではない。

輝くような主人公が描かれることもない。

それなのに、話の展開や主人公の心の動きに引き込まれてしまう。

ここに池内さんの世界がある。

 

池内さんから届く原稿や手紙には、

編集者に宛てた短いコメントや謝辞が添えられていて、

手書きのイラストが描かれている事が多かったように思う。

 

細部を観察し、思いを巡らす人の心配りだった。

8月30日は池内さんの命日。

今夏も読み返している。(G)

 

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