本の豆知識
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本のサイズあれこれ
書店に行くと、いろんなサイズの本が並んでいます。その中でもよく見かけるのがA5判、四六判、B6判というサイズ。 A5判は縦が210ミリ、横が148ミリあります。四六(しろく)判やB6判よりも大きく、写真や図などを多く入れたり、大きく見せたりすることができます。このサイズは専門書やガイドブックでよく見かけます。
四六判は縦が188ミリ、横が127ミリあります。「四寸二分六寸二分」の大きさだから「四六」判。B6判は縦が182ミリ、横が128ミリあります。A5判に比べて一回り小さく、持ちやすいサイズです。
電車の中や出先など、ちょっとした時に気軽に読んでもらいたい本を目指すなら、これらのサイズがいいかもしれません。他にも雑誌に多いA4判(縦297ミリ×横210ミリ)やB5判(縦257ミリ×横182ミリ)、新書判、文庫判などがあります。 -
カバーあれこれ
お近くにある本のカバーをよくご覧ください。つるんとした手触りで、ピカピカと光をよく反射していますか?それでしたら、そのカバーは「グロスPP加工」が行われているかもしれません。さらさらとした手触りで、光は反射しない?それは「マットPP加工」の可能性がありますね。
PP加工というのは、印刷をした紙の上に薄いビニールを貼るものです。ビニールを貼ることで汚れからカバーや本を守っているのです。
「グロスPP」は光沢があり、印刷した色を鮮やかに見せます。「マットPP」は光沢を抑え、落ち着いた雰囲気にしてくれます。 しかし、ビニールを貼ってしまうと、紙がもともと持っていた手触りや風合いは失われてしまいます。そのため紙の特徴を生かしたい場合は、PP加工をしないこともあります。しかし、保護をしないことになるので汚れが付きやすくなったり、印刷が薄くなったりすることも。それを防ぐためには「ニス加工」といって、ニスを塗ります。
ちなみに、本の造りにおいてカバーと表紙は違います。表紙は印刷したものを本の形に製本した際に一番外側にあるもので、本体と一体化しています。そして、カバーは本全体を包むもので、本体から外すことが出来ます。つまり、カバーなしの本はありますが、表紙がない本はないのです。 -
ハードか、ソフトか。それが問題だ
本は大きく二つの種類に分けることができます。ハードカバーとソフトカバーです。「カバー」と付いていますが、これは表紙のタイプを示しています。ハードカバーは分厚い板紙を薄い紙でくるんだ表紙で、上製本とも呼びます。ソフトカバーは本文よりも厚手の紙を使った表紙で、並製本とも呼びます。
ハードカバー(上製本)の長所として、保存性の高さが挙げられます。長く読み続けてほしい本や、後世に残したい貴重な資料をまとめた本などにぴったりです。また、破れにくい、曲がりにくい表紙ですので、子ども向けの絵本にもおススメです。さらに、花ぎれ(別名:ヘッドバンド。本文の背の上や下にちらりと見えている布)やスピン(しおり)を付けられるので、豪華な雰囲気になります。しかし、板紙を使用するため製本代が高く、本も重くなってしまいます。
ソフトカバー(並製本)の長所は、持ちやすいということ。ハードカバーよりも軽く、表紙がしなるので本を開いた状態で持ちやすいのです。気軽に読んで欲しい本はソフトカバーを選んでみてはいかがでしょう。製本代のコストもハードカバーより安くなります。しかし折れ曲がったり破れたりする可能性があります。 -
折って折られて、折って折って……やがて本になる
紙を半分に折って、また半分に折って……と繰り返していくと、本やノートみたいな形になります。実際の本を作る時も、同じようなことをしています。
A5サイズの本を作る場合、A5の紙に印刷しているわけではありません。大きな紙に基本16ページ単位で両面印刷し、その紙を折りたたんで本の形にするのです。折りたたんでできた16ページ分の小冊子を「折(おり)」あるいは「折丁(おりちょう)」と呼びます。本はいくつもの「折」が合わさって出来る、小冊子の集合体とも言えます。 -
本をどうやって綴じて閉じるか
大きな紙に印刷した本文を折りたたんで作ったいくつもの「折」をまとめて表紙を付け、本の形に整えていく工程を「製本」といいます。製本にもいろいろ種類があり、代表的なものとして、かがり綴じ、無線綴じ、あじろ綴じ、中綴じがあります。
かがり綴じとは折同士を糸で綴じ、接着剤を使って表紙とくっつけます。丈夫で紙が外れにくい製本方法です。
無線綴じは、重ねた折の背を削って1枚ずつ切り離し、接着剤で表紙とくっつけます。あじろ綴じは無線綴じの一種です。折の背をミシン目状に削り接着剤を使って表紙とくっつけます。かがり綴じ、あじろ綴じはハードカバー本でも使用できますが、無線綴じはソフトカバーのみです。
中綴じは、表紙と本文を針金で綴じます。接着剤を使わないシンプルな製本方法のため、価格も抑えられますが、分厚い本は閉じることが出来ません。64ページまでが目安です。 他にも、本を大きく開くことができる無線綴じの一種「PUR製本」などもあります。それぞれの製本に長所短所がありますので、どんな製本がいいか悩んだ場合はご相談ください。