1995年1月17日早朝の激しい揺れで全壊した神戸・三宮の新聞会館。その中から持ち出したのは、手書きの原稿用紙や写真のフィルム、写植文字を貼り付けた版下などでした。
真っ暗な室内で懐中電灯を照らしながら取り出しました。館内への立ち入りが制限されているので、選別する時間はありません。手当たり次第にかき集めている間にも、余震が続きます。
あの日から28年になろうとしています。
その後、飛躍的に進んだデジタル化で原稿の大半はデータとして保管するようになりました。利便性は高まりましたが、デジタルならではの脆さもあります。データのバックアップの方法や保管場所など、リスクを分散させた備えが必要になりました。
被災から2カ月後の3月13日。震災後に当社が作って、初めて出す本が完成しました。
神戸新聞の報道写真を収めた『阪神大震災 全記録』です。インクのにおいがする刷り上がったばかりの写真集を手にした時、出版できる喜びと感謝の気持ちでしばらく、見入ったのを覚えています。(G)