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ハードカバー本にはチリがつきもの

ハードカバー本にはチリがつきもの

2022-06-03

本にはソフトカバー(並製本)とハードカバー(上製本)という製本の種類があります。同じサイズでも製本方法が違う本を並べると、ハードカバーの本が少し大きいことが分かります。これはハードカバーの表紙が、正寸(正しい寸法。例えばA5サイズなら縦210ミリ、横148ミリ)よりも縦が約7~8ミリ、横も約7~8ミリ大きくなっているから。硬い表紙の面積が本文より大きく、中の本文が保護されるというメリットもあります。

 

今回、注目していただきたいのはハードカバーの裏側。本を開けると、表紙の裏に紙が貼られていることがあります。本文と表紙をつなぐ「見返し」と呼ばれる紙です。ソフトカバーの本は、見返しが表紙の端ぎりぎりまでついていますが、ハードカバーの本はちょっと隙間があります。この隙間のことを「チリ」と呼びます。なぜ、チリと呼ぶのか。実は、よく分かっていません。漢字では「散り」と書くらしいのですが……

 

出版は歴史が長く、様々な技術が生まれては消えていきました。たとえば、今も使われる「ゲラ」は活版印刷時代の用語の名残。この「チリ」の語源も、もしかすると昔の製本技術の名残なのかもしれません。

 

ちなみに、雑誌のカラーページを「グラビア」と呼ぶこともありますが、これは「グラビア印刷」という印刷方式が基になっています。(つ)

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